第300章

「ママ、今日はママが幼稚園に送ってくれる?」

 ここ数日、ククの幼稚園への送り迎えはずっと山下那美が担当していた。

 ただ、この二日間だけは状況が違った。山下那美が前田南との約束を守り、ククと過ごす時間を前田南に譲っていたからだ。

 そのため、この二日間は基本的に前田南が手配した家政婦がククを送迎していたのである。

 今日もまた家政婦に連れられて幼稚園へ行くのだと思い込んだククは、名残惜しそうな眼差しで山下那美を見つめていた。

 山下那美は困ったように微笑むと、慈愛に満ちた表情を作って言った。

「ええ、いいわよ。今日はママが送ってあげる」

 ククは力強く頷き、その顔に満面の笑み...

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